開拓のあゆみ


 高鷲村は、山が多く田や畑のせまい所です。おまけに家族が多く、食べていくのにやっとという家が多くありました。

最初は、北海道の下川町へ明治三十四年に移民として六十名の人が入植しました。それから満州の開拓が始まり昭和十五年から二十一年まで多くの人が満州でくらしていました。そのころ六百四十六名もの人がいたそうです。しかし第二次世界大戦という戦争で負けたため、高鷲へ戻ってこなければならなくなりました。苦労して作った家も土地もなくして着の身着のままで帰ってきたそうです。そこで、その人達の生活をどうするかという事が問題となり、まだ誰も住んでいない森や山を切り開いて家や田畑を作りました。これが、蛭ヶ野、上野、切立の開拓の始まりです。

昭和 開拓のあゆみ
21 7人が上野へはいる。(その後、北海道へ行ったり、やめる人も出る。)
くわ入れ式が行われる(5月)
22 6人が上野へはいる。(6月)
10人が上野へはいる。(12月)
23 上野の開たく団と蛭ヶ野開たく団がひとつになって「大日開たく農業協同組合」ができる。(6月)
家ぞくごと上野へはいる人がふえる。
はば6メートルの開たく道路ができる。(秋)
 (一谷から上野・上野のぼり口から今のため池のあたりまで)
県へ「ため池」を作るようお願いする。(12月)
24 今までにできた道路に続けて、道路を作るように測量する。(3月)
上野にも「開たく農業協同組合」ができる。(7月)
製材所ができる。(9月)
道路の延長工事が完成する。(11月)
19人が上野へ入る。
 (上野に少しずつ活気がでる。)
25 5人が上野へ入る。
26 県が入植者に土地を売りわたす。
夏大根をつくり「つけもの」にして、出す計画をたてすでにつけものを出していた荘川村を見学する。
水田の予定地の測量をする。(9月)
水田を分けて入植者に分配する。
畑には「たねじゃがいも」がさいばいされる。
県から「ため池」をつくる工事の許可が出る。(9月)
2人が上野へ入る。
29 乳牛を育てようという計画がたてられ、「大日山ろく乳牛育成組合」ができる。4頭の乳牛(4月)、3頭の乳牛(10月)入れる。(入植者もふえ、結こんする人、家族をもつ人、子どものいる家もふえ、ようやく村らしくなってきた。)
つけもの用として、大根をつくる。
「つけもの加工場」をつくる。(7月)
大根のつけものをはじめて神戸へ出荷する。(8月)
上野に電気がひけ、祝賀式がおこなわれる。(8月)
じゃがいもをはじめて名古屋へ出荷する。(8月)
はじめて電話がひかれる。(12月)
30 学校へかよう子が8人になる。(鷲見の学校)
31 牛乳がはじめてとれる。
はじめて牛乳を出荷する。
上野に冬季分校ができる。(7月)
開校する。(12月)
32 乳牛をかっているところがふえる。
森永乳業の会社と出荷のけい約をする。
「ため池」が完成する。
33 「かんらん」を出荷する。
ため池を利用して田がふえてきた。
 (「ひえめし」が少なくなり「米のめし」がふえてきた。)
34 伊勢湾台風のため、つけもの加工場がこわれ、秋やさいが、被害を受ける。
大根の生出荷がはじまる。
35 大根加工場のたてなおしをする。

福手豊丸さん(開拓団のリ−ダ−)のお話

(写真をクリックするとビデオが始まります)

戦後、戦争で何もかも無くしてしまった人や満州から引き揚げて来た人達が、ひるがのへ行けば住む所も食べる所もあるからと開拓に入ってきたが何もない所だった。家は、丸太を切って柱を組み。屋根は、笹やカヤでふき。真ん中に穴を掘り炭を入れた。床には、草を敷いて寝た。トイレは、穴を掘っただけで今の人にはとても住めるような物ではなかったよ。食べる物は、食べて毒にならない物なら何でも食べた。栄養なんて考えもせず、お腹がふくれればいいという考えだった。春の山菜は、とっても貴重でみんな血まなこになってさがした。大日のてっぺんにさいている笹の実まで取りに行き、りょうぶといって牛や馬でも食べない葉まで取って食べたよ。大勢が共同で住んでいたから、みんなで大鍋で取ってきた葉っぱと少しのお米でおかゆを作りおわん1ぱいずつを分けて食べたんだよ。毎日お腹がすいて働くのも大変だった。一番困ったのは、標高が高いため農作物が多く出来ない事。また、子供の学校問題でひるがのから西洞の分校まで通うことも出来ず自分たちで作ったが先生のなりてがなくて困ったよ。私達は、開拓=苦しみ だと思っています。

話を聞いた感想
  今の私達は、好き嫌いをして食べ物を平気で残しますが開拓団の人の話を聞くと、なんてバカなことをしてきたのかと反省しました。食べるために一生懸命働き、がんばって作った作物も少ししか採れなくてがっかりしてもあきらめなかった人達の苦労は、すごいと思いました。

開拓された現在の風景 各地の開たく
現在のひるがの